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生音

11月20日lazy fellow


グルーヴァーズのヴォーカル兼ギタリスト藤井一彦のソロアルバム「LAZY FELLOW」が届いた。グルーヴァーズを聞いたのは、大学に入ってすぐの頃、学生運動の活動家に紹介されたのがきっかけだった。スターリンや村八分、頭脳警察なんかをテープで聞かせられた。パンクをめぐって、実際の運動と音楽が共有する領域があるのだなと思った。ほとんどアコースティックギター一本で演奏されるこのアルバムは、どちらかといえばフォークな感じがする、しっとりとした一枚。この人のカッティングはホントに切れがいい。

ヒートウェイブの山口洋も去年アコースティック一本で「MADE IN ASO」を出している。ヒートウェイブは、やはり大学時、山の中の共同生活アパート伯楽寮に入ってから知った。夜になると、隣人がギターを持って、アパートの庭で、満月の夕べなどを歌っていた。アパートの一員が、大学祭に山口さんを呼んだこともあった。その後の打ち上げは、我が伯楽寮。庭で火を焚きながら朝まで呑んだという。(私は別の呑みで酔っぱらいすぎて、そちらの呑みに参加できず、爆睡していた。)アパートの人たちが酔っ払って山口さんの歌をたいしたことがないといい始め、裸踊りを見せて、山口さんをうならせたという。昨年、山口さんのライブに行き、その後の呑み会で山口さんは「ああ、あのアナーキーなアパートね」と伯楽寮を覚えていた。

ギター一本だと、音を通して、その人柄、個性が剥き出しになる感じがする。特にライブはそうだ。来週、いわきにスターリンの遠藤ミチロウさんが来る。ミチロウさんもギター一本で全国を回っている。時間に余裕があれば行きたいけれど。そういえば、我がじゃんがら堂の「商売繁盛」の額は、山口さんと遠藤さんに書いてもらったもの。山口さんは「商売繁盛なんて書くの初めて」だといい、ミチロウさんは「パンクロッカーが書いたら、商売は繁盛しなくなるよ」と言っていた。売れなくても、彼らのように志を持って一つ事を続けていければとは思う。40、50になったら、あんな生音が出せているのだろうか。


下北半島へ

11月13,14日simokita


 下北駅から数百メートルの距離にある中心市街地には、最北の地にふさわしからぬほどのホテルや飲み屋が林立している。ホテルの7階の部屋からの眺めは、さながら札幌の夜景のようにきれいだった。さっそく夜の街へと繰り出す。そこには華やかな夜景とは裏腹に、どこの地方都市をも包んでいる静寂があった。

 青森県むつ市の人口は6万人強。20年前から1万人減少した。児童数は1万5千人から20年間で半減。小中学校も半分の45校に減少。少子化・過疎化に伴い、児童数が減少した学校、あるいは休校・廃校へ追い込まれたところは全国的に少なくない。一方、中心部の学校の大規模校化も起こっている。学校の統廃合の問題が全国的に生じている。

 むつ市を訪れる前に、青森市の学校統廃合について私たちは取材していた。改めて思い知らされたのは、村の学校という大きな壁だった。小さな村の学校でも、廃校にするには忍びないという意識がある。担当の職員は、村人への説明を繰り返すが、説得は容易ではない。青森市よりも農村部であるむつ市では、さらに統廃合は難しいのではないか。そんな予測をしていた。

「80の人は、木材など持ち寄り学校を作った世代だから、自分たちの学校という意識がありますが、60代の人にはありませんね」と今年3校を統合したむつ市第一川内小学校の校長。事前に話し合いを重ねてきたので、統廃合に大きな問題はなかった。むしろ、学区が広がったことで、生徒も教員も地域の人々との関わりが増えることになったという。小中合同の遠足に、多くの地域住民がボランティアとして参加した。また、学区が広がったことで、地域行事に子供たちが呼ばれる機会が増えた。統廃合により、地域との関わりが増えたという話は少なからず驚きであった。

 むつ市は、小中一貫教育を推進しながら、小規模校の統廃合を進めている。これは児童数減少だけでなく、学力低下への対応でもある。むつ市の小学生の学力は全国平均を超えているものの、中学校にあがると全国平均を大きく下回る。この”中一ギャップ”を、小中教員の相互乗り入れ授業により解消するという。全国平均を上回る不登校率は、小中教員連携によるメンタルケアを行うことにより解決するという目論見である。小規模校の統廃合が段階的に行われ、小中一貫教育はいまだ準備期間である。

 川内地区の父兄からは、すでに小中PTAや教員間の交流会をやろうという話があがっている。「いつもならこの校長室で地区の人がお茶のみしているんだけどね」と校長がいう。学内には父兄がテストの丸付けをするボランティア室があり、校舎裏の畑は地区のお年寄りが管理している。「年に4回ほどPTAの人たちと交流会をやります。教員は飲めなくても全員参加です」地域と教員との繋がりが、家の子供や学校の子供から、地域の子供という意識を作ってゆく。統廃合を繰り返しても、また地域の学校が生まれる。そう信じたい。

(福島民友)

静岡にておでん食う

10月28日
くろはんべ
昨晩夜遅くまで荷物をトラックに積み込み、朝7時に和光市を出発し、11時には静岡に着く。荷物の搬入、並べ等を終えたのが18時。18時という普通のサラリーマン並みの時間に仕事を終えたことが近年ないので、ちょっとまごつく。店にいれば、パソコンがいるので、なんやかやしなければならない。でも、旅先だと自分ひとり。あとは、呑むしかない。てなわけで、まだ、薄昏の静岡で、おでん屋を探し歩く。

昭和レトロな感じのお店のカウンターに落ち着く。とりあえず、ナマ。そして、静岡おでんを注文。地元では「しぞーかおでん」と発音するらしい。確かに店の人もそう発音していた。大根、牛スジ、卵、さつま揚げ、そして黒はんぺん。この鰯のツミレっぽいはんぺんがしぞーかおでんには欠かせない具。串に刺さっているのも、しぞーかおでんの特徴。

おでんを口に入れようとすると、店の人から待ったがかかった。これをかけないとしぞーかおでんじゃない。と出されたのが、だし粉。かつおぶしのふりかけみたいなもの。これをさっと振りかける。

「お客さん、どこから来たの?」と爺さんマスター。おでんの食べ方で、よそから来たってわかるんだろうか。「しぞーかおでんってのはね・・・」と若い恰幅のいい店員が語り始める。

また、名物と書いてあるお茶割りを頼む。焼酎のお茶割りである。これは、涼しげな味、夏なんかに呑むといい感じだろう。でも、ちょっと寒かったので、二杯目からは、いつもどおり、芋焼酎のお湯割りを注文する。マグロのホシ(心臓)、モツの酢漬けなど、静岡の夜を楽しみました。

迷ったら買え

10月29日toukyou1


静岡松坂屋催事初日。10時に開店。7階にエレベーターが到着すると、そこに押し込まれていた古書マニアたちがどっと目当てのコーナーへなだれ込む。往時ほどの勢いはないというけれど、古書マニアの熱気に畏れ入る瞬間である。やはり、掘り出し物の多い地元太田書店さんの棚や映画パンフ、絵葉書などの紙物にお客が集中する。

だいたい1時間ほどすると、品物を見終えたお客がレジへ並びはじめる。昼過ぎまでには、初日の混雑は落ち着き始める。私たちも見計らって、社員食堂へ飯を食いに行ったり、休憩室でタバコを吹かしたりする。こうした同業者との休憩の場が、私のような新参者にとっては勉強の場である。こうしたところでの話は、けっこうきわどいものが多いので、書くことはできないけれど。

19時に閉店。けれど、高速バスの時間があるんで、私は30分ほど早くあがらせていただく。18時45分静岡駅発の高速バス。15分で、土産の黒はんぺん、バス内で食べる弁当、そして缶ビールを買い込む。何とかバスに乗り込み、缶ビールを開け、弁当をほうばる。そして、催事で買い込んだ手提げいっぱいの本に目を通す。大正初年の静岡県のある村の青年会誌、戦後の航空雑誌、80年代アイドル写真集、昭和初期の児童雑誌、松旭斎天勝の自伝・・・。

「迷ったら、買え」今回の催事で、静岡の古本屋さんにいただいた言葉。自分のアンテナに何かしら引っかかるものがある本。自分の直感を信じて、本を買いつづけるしかない。

碧い月−三春町にて

10月25日蒼い月一号


碧い月についたのは開演時間の17時。猫の一号が、にゃーにゃー言いながら、駐車場から店まで案内してくれた。まだ、客は一人も来ていず、つくばの連中が来るのを待つ。10分ほど遅れて、連中が到着。

朗読は、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」。店主のゆきえさんの声が、朗読の声に変わった途端、猫の一号は外へ逃げ出した。店主の様子と店の空気が普段と変わったことを察したのだろう。

賢治はもちろん、童話というものに親しんでこなかった。どうしても寓話として、何らかの解釈を施してしまおうとする。朗読は、ただ声の作り上げる空気を楽しめばいいという。裏を読むのではなく、声とその場が作り上げる物語を楽しめばよいのだと。

それでも、声と場が誘発する物語を視覚化するのは、自分の脳みそであって、そこにいる皆が共有しているという保証はない。私にとっての山猫は、うちの飼い猫のゴメスとして登場してきたりする。もちろん、政治集会じゃないんだから、同様のシュプレヒコールをあげる必要はないんだが。

詩の朗読は、ライブや盆踊りなんかと違って、声を媒介にして、自分で物語を再映像化しなくてはならない。そこが、突き放された気分になる。そして、懸命に視覚化した物語や感慨が、他人と同じなんだろうか、と不安になってしまうことがある。

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