10月25日(土)

福島県の民俗学会で、旧白沢村へ行った。旧というのは数年前に隣の本宮市に合併されたからだ。本宮は、国道4号、高速の東北道、東北本線が走る交通の要衝。中心部には商家が多く、郊外には工業団地も多い。白沢村は人口9000人ほどの農村部。工業団地も点在するが、基本的には、いまだ農業を主軸とした村である。
町場の本宮、農村部の白沢。合併して一番問題となったのはお昼のサイレンだったという。町場の商家は、昼飯を自宅で取るから、サイレンが鳴るのは12時ちょうど。白沢では、野良仕事に出ているから、11時半にサイレンが鳴っていた。それが、合併してから本宮の12時に統一されてしまったのだ。
これに対して、白沢村の住民からの猛反発が起こり、政治運動へまで発展した。結局、半年間の交渉の上、白沢地区は11時半のサイレンを勝ち取ったという。
今回の学会のテーマは、白沢村の資料館で保管している養蚕民具が県指定文化財となったことから、養蚕がテーマだった。現在も、十戸(というか十人)ほどが養蚕を営んでいる。明治期以来、戦後にいたるまで、白沢村では、養蚕が盛んに行われてきた。それもひとつの民俗なのだろうが、サイレンの話の方が、白沢村の民俗史にとって、大きな事件に思えた。